公益社団法人黒部青年会議所2020年度理事長所信

2020年度理事長 

横山 栄一郎

 

JCの使命

 先輩諸兄が紡いできた黒部JCは、黒部市にとって必要とされてきた。時にはまちを変え、時には子供たちを成長させ、時には北方領土に想いをはせ、絶えずまちのことを考えて活動・運動を繰り返してきた。我々が住むまちを良くしたい、ひいては富山県、日本をよくしたいという情熱が根底にあったからこそ、困難を乗り切って数多の功績を残してきたのである。

「JCはまちをよくする団体です」

JCはどのような団体ですか?と聞かれた際、究極的にはこのようなシンプルな言葉になるであろう。この言葉に嘘偽りはまったくないが、では現実に我々はその答えに対して恥じないだけの行動が取れているであろうか。品格ある青年経済人としてまちのことを常に思案し、日々成長しながら世の中のために活動・運動が実施できているであろうか。私を含め、JCやまちに対してやれることをまだまだやっていないのが現実であると思う。入会した動機は人それぞれだが、数ある青年団体・ボランティア団体のなかからJCを選択したからには与えられた自己成長のチャンスを活かし、情熱をもって積極的に活動・運動にまい進するべきである。メンバー自らが成長し、そして世界でも通用する人材となってはばたいていく―――これこそが、JCのもつ使命である。

 

真の原因をつかむ

 様々な活動・運動を行っていく上で、我々はいったい何を目的にして活動・運動に励むべきなのか。それはひとえに「問題を解決するため」である。この問題を誤って捉えてしまい、せっかくの活動・運動の効果が薄れてしまうことが往々にしてある。今見えている問題は表面上のものであることが多い。そこから深掘りして真の原因をあぶり出し、その解決方法を探る。難しい内容であるが、日常のいかなるシーンにおいても同様に考えていくべきであり果敢にチャレンジしてほしい。多くの時間をかけて真の原因を追究することが重要であり、それを取り除くことがJCの運動の本質である。まちに出て情報を集めるもよい、行政にかけ合うもよい、たくさんの活動を起こして真の原因をつかもう。

 

黒部に問題点はあるのか

 人口減少を起因とする問題、財政基盤の悪化など地方のまちを語る上において必ず発せられる負のワードであるが、ここ黒部においては世界的な大企業を中心とした企業や市民に支えられて比較的恵まれている環境にあると言える。東京直通の新幹線、新川広域圏をフォローする消防署、改装された黒部市民病院などインフラが整い、またももクロ春の一大事ライブやシアターオリンピックスなどのビッグイベントなど、黒部がクローズアップされる機会も多いように感じる。

しかし黒部とて状況が好転しているというわけではない。少子高齢化は全国平均より進んでおり、また人口減少もゆるやかではあるが悪化している。これらの現象が引き起こす問題は、将来必ずや火の粉となって我々のあとの世代へと降りかかってくる。住みにくいまちにしないために、急激な悪化ではない今だからこそ取り組めることがあるはずだ。事前調査に多くの時間をかけることで真の原因は必ず見つかり、その原因を取り除く事業を実施することで問題点の解消を図ろう。

 

子供たちの笑顔や涙の向こう側

 黒部JCではこれまでも多くの子供たちに向けて事業を行い笑顔を提供してきた。また継続して実施しているわんぱく相撲名水場所ではひたむきな姿や悔しさの余り涙する子供たちを目の当たりにし、それがやりがいとなっているメンバーも多いことであろう。

 もちろん、子供たちが心の底から楽しいと思えるようなことをやることは必要であるが、我々はそこからもう一歩踏み込んだところに最終目的を置かなければならない。子供たちは正直なので感情がストレートに表面化する。そこに一喜一憂するのではなく、実施する事業が何の意味を持ち、どう役立って行くのかをしっかりと見極めていく必要がある。

子供たちが置かれている環境は我々が幼少期のころとは劇的に変化しており、そのスピードもすさまじい。従来の知識だけではとらえられない問題も出てくるであろう。的確に問題を捉える力を身に付け、青少年が立派に成長する環境を我々が作っていこう。

 

北方領土返還が絶望的な今だからこそ

 これまで絶え間なく取り組んできた北方領土返還に対する運動は、これまでのところ実を結ぶことなく時間が過ぎ去っている。安倍総理大臣の積極的な外交政策によってプーチン大統領との距離は縮まり、日本国内においてはソ連崩壊直後以来で最高潮に領土返還の機運が高まっていた。しかしそれは我々の完全なる勘違いであったようだ。ロシア側から発せられるメッセージは今や完全に日本を突き放したものであり、1ミリも返還に動いていないように感じられる。日本政府も公式見解は変えていないものの、表現を微妙に変更しトーンダウンしておりさらにここ最近では北方領土に関する話題すらもなくなっているように感じる。

このような状況のなか、元島民の方々の心中はいかばかりであろうか。帰るべき、愛すべきふるさとを略奪され祖先の墓参りすら自由にできない状況となって74年、結局はこれまでの活動がすべて無に帰してしまったとすら思えてしまう。私も2015年に北方領土委員長として、吉田義久氏をはじめとする元島民の方々とお話しする機会を多く頂いたが、本当に人生をかけて取り組んでおられ、私も負けられないと気持ちを新たにした。それだけ想いをもって取り組み返還の機運が高まっていただけに、その落胆ぶりは計り知れない。

 こんなときだからこそ、我々が立ち上がらなければならない。例え返還への道が閉ざされたように見えても、我々が諦めてしまってはもう二度とチャンスは訪れない。元島民の方々の想いを引き継ぎ、中心となって活動する気持ちをもつことが重要である。2019年に40歳以下の若い世代を中心にビザなし交流で北方領土を訪問したが、関心を高くもっている市民も数多くいる。道筋が見えない北方領土問題を打破するために、メンバー一人ひとりが北方領土を知り関心を高く持てば必ずや仲間が増えおのずと道が拓けるはずだ。

 

メンバーの成長の先にある拡大

 メンバー数は40名を切り減少の一途をたどっているが、全国でも同じ傾向である。この原因を人口減少だからとか苦労をしたくない若者が多いからとか外的要因に求めることは簡単であるが、それではメンバー数の増加は見込めない。これは内的要因である。つまりJCに魅力が感じられないのではないだろうか。JCのイメージを良くも悪くもするのはそこに所属する我々の振る舞い一つである。私が入会して以来、全国各地で開催される諸会議におけるメンバーの素行の悪さについて耳にしない年がない状況では、入会をためらうことも当然である。ここ黒部でもそのようなことは絶対にあってはならない。

品格ある青年経済人として絶えず物事に取り組み成長を続ける魅力的な人間が多く所属する団体となれば、おのずと人材が集まってくるであろう。まちの人から必要とされ、一目置かれる団体であり続けるために一人ひとりが成長しよう。

 

出向で得られること

 2018年に私は日本JC憲法改正推進委員会の副委員長として出向させて頂き、まったく無知であった憲法に取り組むという貴重な経験をさせて頂いた。委員長が途中から不在となり本来の委員会とは程遠い形となってしまったが、そのような状況でも腐らず取り組んだことで得られた経験、仲間はかけがえのないものである。

最も得られること、それは刺激である。LOM以外のメンバーと触れ合うことで、井の中にいてはわからなかった黒部の良さ・悪さが浮き彫りとなる。そして自分という人間が自然と磨かれ成長へとつながっていく。「JCはトレーニングジムと同じ」とはよく言われていることであるが、入会したからには使い倒さないと成長はできない。その最たるトレーニングが出向であり、そして担う役割は鉄アレイと同じで重ければ重いほど力が付く。どの鉄アレイを持つかは人それぞれだが、より重い大きな鉄アレイを持ってほしい。

そして黒部へその経験と成長をもって帰ってきてほしい。より成長したメンバーは黒部JCに大きな変化をもたらし、まちのために躍動することができる人材になっているはずだ。その背中を見たメンバーがまた出向を決意し、大きく成長して帰ってくる。絶え間ない善のスパイラルを生み出そう。

 

1年後の姿

 2020年を終えたとき、どのような自分を想像するだろうか。決断力のある人、魅力的な人、カッコいい人・・・どんな姿でもよいのだが、人はそう簡単には変われないというのが私の持論である。絶えず与えられる発展と成長の機会をモノにする、つまり自分を変えることがJCの使命であるとすれば、これからまた難題にチャレンジするスタートラインに立った。ぜひ、1年後の自分の姿を明確にしてほしい。JCでの活動・運動を通じて、きっとそれは実現可能である。まちや青少年のためにがむしゃらに取り組むことは、最後には必ず自分の成長となって還ってくる。私は黒部JCの先頭に立ってけん引し、LOMの発展と成長を促せる人材になってみせる。人が人を想い、磨き、まちから必要とされる団体にこれからもしていきたい。一人ひとりの自己実現が果たせる素晴らしい2020年となるように、日々精進する所存である。

 

2020年度スローガン 「日々精進」

貴重な時間をムダにすることなく、毎日少しでも努力を積み重ねよう。

 

2020年度基本理念

魅力ある青年経済人を輩出するJCの実現

 

2020年度基本方針

1.品格ある青年経済人としてメンバーの資質向上につながる取り組み

2.青少年を取り巻く環境が起因する問題を取り除く事業・例会

3.黒部のまちにおける問題を取り除く取り組み

4.北方領土返還運動の灯を絶やさないための事業・例会

5.出向者を支援しメンバーへの還元につながる取り組み

6.ムダのない組織マネジメントにつながる取り組み