2025年度理事長 山口 朋文

 

1.はじめに

 

 私が青年会議所の良さを知ったのは入会1年目の暑い夏の日、黒部川での合同イベントのことでした。ボランティアとして地域の中学生の皆さんにも協力いただいていました。事業の実施中、熱中症の為か一般の方がよろめき、「ゴンッ」という音と共にアスファルトに後頭部から倒れました。周囲が心配そうに人だかりの輪を作って見ている中、すぐさま木陰に運び、救急車を呼び、氷を用意して体を冷やしたのは青年会議所会員達でした。

 救急車が去り、一段落したころ中学生の女の子が泣きながら「自分は怖くて、全く動けなかった。皆さんのように行動できる大人になりたい。」と伝えてくれました。咄嗟のことで考えもしていませんでしたが、人のために自然と動ける人間ってかっこいいなと感じた瞬間でした。もっと人として成長して常にそう行動できる人間になりたいと感じました。

 

 青年会議所でのあなたの成長はどれだけ「貪欲」に、どこまで「挑戦」をしたかにかかっています。世界情勢が不安定な今、私たちの置かれている社会環境は目まぐるしく変化しています。学ぶ姿勢を止めて現状に甘んじることは、社会からみると退化していることと同じかもしれません。

 

 あなたは自分自身の成長のために英知、勇気、情熱を今、黒部青年会議所の運動、活動に注ぎ込んでおられますか。

 

 幸運にも私たち青年会議所会員には地域の先頭に立って社会課題を見極めて動き、そして学べる機会が与えられています。一年後、今より少し大きくなったあなたに出会うために一緒にほんの少しだけ背伸びをしてみましょう。

 

2.魅力ある人財が集う組織へ

 

 私たちは日々、地域の課題に向き合って活動、運動を展開していますが残念ながら地域を大きく変えるような事業は簡単にはできません。大切なのは地域課題と向き合う過程を通じて真剣に取り組んだ会員が気づきを得て成長し、人として魅力ある人間になっていくことです。この会員が地域にとって欠かすことの出来ない人財になり、周囲に考えや熱量を伝播させることで地域の人々の意識を少しずつでも変えてゆき、黒部がよりよくなっていくと私は信じています。

 また、地域に良い影響をもたらすためには私たちの活動、運動を正しく地域の方々に認識していただく必要があります。見る側のことを意識した日々の活動や運動の地域へ情報発信と、一人ひとりが地域にとっての若きリーダーとしての自覚を持ち、周囲の方々に配慮のある行動に心がけ青年会議所の良い意味での認知の向上に努めましょう。

 

3.地域との繋がりを活かした活動・運動の展開

 

 これまで黒部青年会議所は47年の歴史を積み重ねてきました。諸先輩方が行ってきた活動、運動により今、信頼という形で地域に広くネットワークが形成されています。私たちがこれまで以上に地域にインパクトのある運動を行なっていくために、このネットワークを活かし行政や各種団体などのパートナーとの更なる連携が必要です。それは単に数のインパクトの話ではなく、それぞれの視点から真剣に地域を考える組織同士が共に一つのことに取り組むことで新たな視点を得るためです。取り組むべき社会課題を解決するために効果的なパートナーと連携し、自分たちだけでは作り出せない価値を生み出しましょう。

 また、不安定な経済状況により円安が進行していますが、視点を変えてみるとインバウンド需要の増加に繋がっています。一次的な流れに合わせた観光施策も大切かもしれませんが、私たちは変わることのないふるさと黒部の魅力をこれを契機に改めて顕在化させ地域の方に知っていただくことが大切だと感じます。

 

4.青年会議所だからできる青少年へのアプローチ

 

 今の子供たちはクラブ活動や塾など習い事が多く、自由な時間が少ない忙しい日々をおくっています。一方で、ランドセルを開けると多くのイベントのチラシが入っています。数多くの団体が工夫を凝らし、子供たちを対象とした様々なイベントを実施しています。

 こんな状況でも我々青年会議所メンバーだからこそ、これからの地域を担っていく子供たちの成長に寄与できるアプローチが必ずあると思っています。例えば、わんぱく相撲では黒部市相撲連盟の協力の元、名水場所前から子供たちに練習の機会を提供し、共に練習を積み重ねた仲間と本番当日には本気でぶつかり合い、悔しさに泣きながらも勝った相手のことを応援する姿が見られます。この姿から勝ち負け以上に価値のある経験を提供できていると感じています。私たちに何ができるのか、今一度考えて地域の宝である子供たちのために汗を流しましょう。

 

5.基盤の再構築

 

 近年、黒部青年会議所は会員数の減少に加え、経験豊かな会員が卒業したことで組織として変革の時を迎えています。

 昨年度から黒部青年会議所も変えるべき部分を社会の変化に合わせてアップデートしています。今年度もその姿勢を引継ぎ、今あるものを当たり前として無関心でいるのではなく「なぜ」必要なのか、改めて一つひとつの意味合いを考えることで形骸化してしまったものの見直しを行ないます。その一方で、近年疎かにしがちな青年会議所の変えてはならない本質の部分を今一度、見直したいとも考えています。各種会議や委員会の在り方、セレモニーの扱い方ひとつをとっても今一度現状を見つめ直す機会が必要です。

 これまでの何気なく行なってきたことに意識づけや変化を与えることで会員一人ひとりにもこの黒部青年会議所がどうあるべきを考えていただくことが必要だと感じています。

 

6.魅力を語れるJAYCEEであれ

 

 近年の会員数の減少は青年会議所の魅力を語れない会員の増加がその一因ではないかと私は考えます。あなたは家族や友達に「青年会議所ってどんなところなの。」と聞かれたとき、どのように会のことを伝えられていますか。

 その魅力を自然と話せるようになるために必要なことは自分なりに真剣に運動、活動に取り組み、その過程で気づきを得ること以外にありません。そういう私も当然ながら入会当初から自信を持って魅力を語ることは出来ていませんでした。夜を徹して作業をし、何時間も一つの言葉の意味を議論するなど、議案や周りの人とより真摯に向き合うようになってきたことで少しずつ自分の言葉で伝えられるようになっていきました。

 この経験から私は歴や役職に関係なくその時々でいかに真剣にその状況に向き合うかでその気づきは得られるものと確信しています。一人ひとりが自分なりに魅力を語れるような状態になれば、必ず周りの人にその良さは伝播します。

 それぞれの役割を担う会員がそれぞれの目線で自然とその組織の良さを語る会ほど強いものはありません。会員全員が魅力の発信者になりましょう。 

 

7.1年後の自分

 

 会員の皆さん、一人ひとりに感じてほしいのは何よりも自分自身の成長です。これまでの経験や役職は人それぞれ違いますし、この会に求めているものも千差万別だと思います。私は個々人のビジョンを明確にし、アンテナを張って行動することで得られる成果に大きな差が出るものと考えています。一人ひとりの考えを聞き、一年間行動を共にすることで会員の求める成長を一緒に実感したいと強く願っています。

 入会から私は今年度7年目を迎えます。これまでの運動、活動を通じて濃密なJCライフを過ごさせていただきました。タスクに忙殺された時も、プレッシャーに押しつぶされそうな時もそれを支えてくれたのは共に汗を流した会員であり、厳しくも優しい助言をくださる諸先輩方でした。この環境は私だけに与えられたものではありません。黒部青年会議所にはあなたの頑張りを必ず見てくれている仲間がいます、背中を押してくれる仲間がいます。

 あなたにとって未知のことに挑戦することはとても怖く、大きな勇気が必要です。また、やってみる中で辛くて投げ出したい気持ちになることもきっとあることでしょう。ただ、その試練と立ち向かい、踏ん張って壁を乗り越えた時、あなたは自分自身の成長を確実に実感できます。がむしゃらにやりきって泥だらけになったその両手が輝いてみえるその日まで、共に歩みを止めずに進みましょう。

 

基本方針

1.地域への青年会議所の魅力の伝播 

2.地域のネットワークを活かした事業の実施 

3.青少年の成長につながる事業の実施 

4.強い組織への基盤構築 

5.全員拡大の実施

6.自己成長の感じられる会員育成の実施

 スローガン

Stay hungry , stay foolish.