2021年度理事長 四十物 幸直

はじめに

1978年、「自己を修練し広く友情を求めるとともに、この地を深く愛し、黒部市、宇奈月町そして新川圏域の将来に大きな希望と情熱をもって行動の第一歩をふみ出したい」という設立趣意書のもと、強い責任感と熱意、覚悟をもった若き力が相集いJAYCEEの志が醸成され、黒部青年会議所は誕生した。43年の歳月を経た今でもその志は継承され、明るい豊かな社会の実現を目指し、様々な活動、運動を展開してきた。

ところが、2020年世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、日本経済は戦後最大の危機を迎え、青年会議所における活動、運動も大きく制限されることとなった。全国的に多くの事業やイベントが中止や延期に追い込まれ、青年会議所に所属している意義を見失った会員も少なくなく、新たに青年会議所に入ろうとする者の数も激減したと言われている。しかし新型コロナウイルスは何もマイナスなことばかりではない。地球規模で見れば、一時的にではあるが、二酸化炭素の排出量が大幅に減少したという話もあるし、各企業はこの苦難を乗り切るために様々な施策を考え、実行し、会社として一段とレベルアップを果たしたところもある。そして、青年会議所においても諸会議や講師例会等を、WEBツールを効果的に活用して実施し、一方では、困っている方、お店、団体等を支援するために、これまでにない手法を用いた活動、運動を展開してきた。もちろん、以前のように特に制限することなく参集して事業等が行えるようになる日々が戻ってくることを願っているが、たとえ、以前の日常が戻ってきたとしても、このコロナ禍で培われた手法や経験は必ず今後の役に立つときがくるだろう。やはり、何事も悲観して下の方ばかり向くのではなく、しっかりと前を向いて、一歩一歩前に進んでいくことが大切だということだ。周りの人たちが下を向いているときだからこそ、地域のリーダーとなるべき我々がしっかりと前を向いて進んでいこう。

 

今という時間を大切に

私は以前就いていた仕事の関係で、多くの人の死というものを目の当たりにしてきた。老衰で天寿を全うできたケースや、末期の病気等で家族や本人が死を覚悟していたケースが多かったが、接していて辛く感じたのは、犯罪被害で亡くなられたケースはもちろん、不慮の事故や災害等で、突然亡くなられたケースだ。残された家族は死を覚悟していなかったのだろう。よく「もっと○○してあげればよかった」という話を耳にした。亡くなった本人もまさか亡くなることになるとは思ってもいなかっただろう。誰もが自分がいつどのような死に方をするのかはわからない。であるにもかかわらず、ほとんどの人は、ある程度の年齢まで生きられるものと思い込んでいる。実際に多くの人は、ある程度の年齢までは生きられるので、その考えが間違っているとは言えないかもしれない。しかし、自分で健康だと思っていても、突然、不慮の事故や心不全で亡くなることも少なくない。

 だからこそ、やりたいこと、やるべきことがあるのなら、先送りせずにできるだけ早くやった方がいい。やらずに後悔するよりはやって失敗した方が絶対に納得できる。それに失敗したとしてもやり直せばいい。「時間があるときにしよう」「来年になったらしよう」は将来の時間があると思っているからこそ。今という時間を大切にしてほしい。そして、自分の時間と同じくらいに、周囲の人の時間も大切にしてほしい。これは青年会議所での行動に限られる話ではない。当たり前のようにあると思っている「明日」は誰にでもあるわけではなく、突然に奪い去られるかもしれない。そう考えると、今のこの瞬間すら無駄にしてはいけない。

 

地域の未来を切り拓く

今、日本社会は少子高齢化という人口構造の急激な変化が進み、ここ黒部市も例外ではなく、むしろ全国よりもより早いペースで少子高齢化が進みつつある。人口規模の縮小、とりわけ労働人口の減少により、自治体の財政規模が縮小していくことは避けられず、これからの時代は行政だけでなく、一人ひとりの市民が主役となって行うまちづくりがさらに重要となるだろう。そして、その役割をリードしていかなければいけないのが、我々青年会議所であることは言うまでもない。

幸い、この地域には、北アルプスの山々から黒部川の流れに沿って広がる扇状地や富山湾までもが一体となった自然環境、そこで育まれた文化や歴史など、地域固有の貴重な財産がある。さらには国内でも有数の大企業が立地し、新幹線駅や新川医療圏随一の基幹病院が整備されており、同じような規模の自治体と比べても様々な可能性を秘めた環境にあると言える。しかし、現状に甘んじているだけでは、地域が衰退していく可能性が極めて高い。ここに住み暮らす人々が将来にわたって誇りと愛着を持って暮らせるまちづくりを実現するためには、まずは市民がしっかりとこの素晴らしい環境があることを理解し、その環境をいかに活かしていくことができるかにかかっている。一人ひとりの市民がまちづくりに対し、能動的に取り組むことができるよう、我々が先頭に立ち地域の未来を切り拓いていこう。

 

青少年に必要なニーズを的確に捉えよう

子供たちは、社会が未来への希望を託す貴重な存在であり、地域の宝である。この次代の社会の担い手たちを立派に成長させ、然るべき社会的自立を促進させることは各家庭だけの課題ではなく、地域社会全体の課題であり、「若者に成長の機会を提供すること」を使命とする我々にとっての最重要課題でもある。また青少年期は、個人にとってもかけがえのない人生の一部であり、人格の基礎が形成される非常に大切な時期でもある。我々は、子供たちの健全育成を担う責任世代として、これからの子供たちが、自分の意見をもち、自己を表現し、他者を理解し、他者に働きかけ、家庭や社会のために自ら行動する主体性と社会性を併せ持つことができる大人へと成長できるような環境づくりに努めなければならない。決して今の青少年たちが、昔の子供たちと比べて社会性や主体性に劣っているとは思わないが、少子高齢化の進行に加え、よりグローバル化が進む社会の中では、これまで以上に社会性や主体性が求められることになるからだ。

また近年は、兄弟姉妹数の減少や離婚家庭の増加、核家族化の進行などで家庭は小規模化し、インターネット等のITツールの普及により、外遊びをする機会が減少するなど子供たちを取り巻く環境も大きく変化している。さらには、2020年には全世界的に新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、長期間に亘って学校が休校となり、授業再開後も新しい生活様式が取り入れられるなど、その影響も小さくない。これらに伴って子供たちの思い出づくりの場も確実に少なくなってきている。また、子供たちが成長していく上で周囲が支援をしなければいけない点も変化してきているはずだ。子供たちに郷土に対する愛着を育んでもらうためには何をすべきか、今の子供たちの健全育成に必要な支援とは何なのかを的確にとらえ、これまでの常識に拘ることなく子供たちにより良い変化をもたらすための機会を提供していこう。

 

より柔軟な発想で問題に取り組もう

黒部青年会議所が設立して以来、長年取り組み続けてきた北方領土問題。戦後75年以上が経過した今もなお、ロシアによる不法な占拠が続いている。近年は問題解決への一時的な機運の高まりこそあるものの、問題解決に向けた政府間交渉においては、未だ大きな進展は見られない。元島民の方々の高齢化も進んでいることから、今後この問題が風化していくことが懸念され、問題の風化は問題解決からの後退に直結することから、これからも問題解決への希望を捨てず、声を上げ続ける必要がある。

一方で、以前までは元島民やその関係者の中では「四島一括返還」を求める声が大半だったのに対して、近年では、その「四島一括返還」を求める声が大幅に減少したと言われている。もちろん日本は法治国家だから、法の論理に沿った主張の維持は必要だが、それだけでは、この問題が解決しないことはこれまでの歴史からも明らかだ。元島民や関係者も時間がたつにつれて、多様な選択肢も含めて考えるようになったのだろう。どのような形であれ、この問題が一歩前進することを元島民たちが望んでいるということだ。一番の当事者である元島民やその関係者の方たちが、このように考えるようになってきているからこそ、長年、この問題に取り組んできた我々もまた、柔軟な発想力をもってこの問題に取り組んでいかなければならない。そして、この問題の解決への一番の近道は、「この問題が解決してほしい」という人を国内外問わず、増やすことだと思う。そのように考える人を増やすためには何をすべきか、何ができるのか、ということを一人ひとりの会員が真剣に考え、様々な運動を展開していこう。

この問題に取り組もうと思って黒部青年会議所に入会した会員はいないかもしれない。しかし青年会議所の究極の目標は恒久的世界平和の実現にある。そして、この問題の解決は恒久的世界平和の実現に他ならない。私たちの一人ひとりの力というものは決して大きくはないかもしれないが、私たちが踏み出すその小さな一歩が恒久的世界平和の実現への一歩となることを信じて運動を続けていこう。

 

1人ひとりの成長から全員拡大へ

全国的に会員数の減少が進み、それは黒部青年会議所にとっても例外ではなく、このままではLOMの衰退が危惧される。我々がこれからも持続的に活動、運動を展開し続けるには、会員拡大を推進することが最重要課題の一つと言える。今後、地域に変革を起こすための声を、より大きなものするためには、全会員を巻き込んで、拡大運動を推し進める必要がある。そのためには、会員一人ひとりが拡大活動の意義と重要性を認識するとともに、それぞれが当事者意識を高く持って熱い思いを、伝えなければならない。

また、拡大活動を効果的に展開するためには、一人ひとりの会員がJAYCEEとして成長し、魅力あふれる人財となることが肝要だ。自ら成長することを望み、魅力あふれる人財になろうとする者の周りには、自ずと同じように考える同志が集まってくるからだ。さらに、一人ひとりの会員が青年会議所において成長し、魅力ある人財になることができれば、自信を持って拡大活動にも取り組むことができる。また、忘れてはいけないのが、自分自身が青年会議所活動、運動に楽しみながら取り組むことだ。結果を出すことも大事なことだが、何事も楽しさを忘れてしまうとなかなか長続きしない。どこに楽しさややりがいを見出すかは人それぞれだが、しっかりと楽しさを感じながら様々な活動、運動に取り組んでほしい。そうすることで、これから青年会議所に入会しようと考える者にも、より一層、青年会議所の魅力を伝えることができるだろう。また近年は、人とのネットワークを面倒だと考え、ネットワークを広げたいと思わない若者が増えつつあるようだ。こういったことをしっかりと念頭に置き、それぞれの若者の意識にあったアプローチを展開し、多角的な面から青年会議所の魅力を伝える必要がある。近年は活動歴の浅い会員の割合が増加し、青年会議所における活動、運動に積極的に携わる会員が減少することで、青年会議所の魅力を語れる人財も少なくなってきているが、自己の成長、そして組織としての成長が会員拡大へとつながっていくということを全会員が認識し、成長、拡大への一歩を踏み出そう。

 

出会いや機会は人を成長させる  

 NOMやBOM等に出向することや、LOM以外の事業に参加することによって、他の地域で活躍するJAYCEEをはじめとする多くの人と出会うことができ、さらには、様々な知識や経験を身につけることができる。しかし、今の黒部青年会議所は、そういった機会に対して消極的な姿勢の会員が多く見受けられる。たしかに出向や対外的な事業に参加することで費用や時間の面で負担が生じるかもしれない。面倒だなと感じることもあるかもしれない。しかし、それを補って余りある学びや成長の機会、そして出会いがそこにはある。それはLOMにいるだけでは、決して得ることができないものだ。限られた時間や機会の中で出会える人の数は、出会えない人の数よりもずっと少ない。だからこそ、1つひとつの縁を大切にして、出会いの数を増やしてほしい。行動するのが難しいから行動しないのではない。行動しようと思わないから難しくなるのである。価値観の違う人と出会うことで人は大きく成長できる。だからこそ、常に一歩前へ踏み出す気概を持ち続けよう。

 

結びに

 一人ではたいしたことはできないかもしれない。しかし私には、私を支えてくれる多くの仲間がいる。私もまた己を尽くし、仲間の支えとなって様々な活動、運動に取り組んでいきたい。人が集まって、同じ目標に向かって強く結集すれば、ほとんどのことは成し遂げられると信じている。

2020年、猛威を振るった新型コロナウイルスの影響で青年会議所における活動、運動だけでなく、日本社会、そして世界全体の社会情勢が大きく変化した。しかし、我々青年会議所は社会に貢献してこその存在だ。社会情勢が変われば、我々青年会議所もまた、変わっていく必要がある。進むべき道が変化し、進化し続けるのであれば、我々もまた、その道を求めて変化し、進化し続けていこう。そして、その進むべき道に向かって、一歩前へ。

 

スローガン

『前へ』~勇気ある一歩が未来を切り拓く~

 

基本方針

1 地域から必要とされる能動的なリーダーの育成

2 地域の魅力を活かしたまちづくりの実施

3 ニーズを的確にとらえた青少年育成への取り組み

4 これまでの常識に拘らない柔軟な発想による北方領土問題への取り組み

5 拡大の意義と重要性を認識した上で行う全員拡大の実施

6 LOM以外の事業等への積極的な協働参加

7 会員相互間の連携を高め、様々な活動、運動を強力に支援する組織運営